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4. 話さなくなるからこそ、

話してくれるときは全身全霊で聞きたい

2013年9月14日

NHKのBS世界のドキュメンタリーで

「BULLY(いじめ)」というアメリカの記録映画を見ました。

いじめのひどさや学校や行政が臭いものに蓋をするのも

日本とよく似ていました。

BULLYのオリジナル予告映像

 

すごく気になったのは、12歳の少年アレックスが

執拗ないじめを受けていることを、

自ら親に伝えたときの親の反応。

(一回見ただけなのでうろ覚えのところもあります)

 

アレックスは「魚顔」とからかわれ、

鉛筆で刺されたりオカマと言われたり

上に乗られたり首を絞められたりしていました。

 

そういうことを、アレックスは低い声でぼそっと打ち明けます。

でも母親とのやり取りは、母の質問に無愛想に

一言で答える程度の会話で、深刻さや辛さを

感情的に訴えるものではありませんでした。

そのため親も「子どものケンカ」程度にしか

考えなかったようです。

 

母は「友達はそういうことをするもんじゃない」

「友達はかけがえのない存在であるはず」などと

哲学めいた話をし、友達と仲良くできない息子を

逆に責めているように見えました。

 

父は「そんな悪口を言われてるんなら、

相手にそれをやめさせろ。

そのうち妹までいじめられるようになるかもしれんぞ」

と言い放ち、妹は

「お兄ちゃんのせいで私もいじめられるなんてイヤ。

お兄ちゃん、キモい」と罵りました。

 

アレックス目線の映像のせいか、学校でも家庭でも

アレックスの居場所のなさが伝わってきて胸が痛くなりました。

 

学校へ行くの、怖いだろうな。

親に話しても無駄、自分が怒られるだけって思うだろうな。

実際話してみたけど、ほらやっぱりって……

子どもの心情が伝わってくるようでした。

 

子どもがやっとの思いで話してくれても、

その話し方がサラリとしていたり一言で終わったりするなら

親は「よくあるケンカ」ととらえてしまいそうです。

でもその「サラリと言ったこと」が、もしかしたら

とても大変な出来事を発見する糸口になるかもしれません。

 

子どもの言うことに耳を傾ける――。

ながら聞きではなく、口をはさむでもなく、

善悪の判断もせず、ただ、じっくりと話を聞く。

子どもと向き合うときはそれを忘れないようにしなくては。

 

ところでアレックスのケースでは、いじめがエスカレートして

危険を察知した取材班が親と学校に映像を見せました。

親はようやく事態の深刻さを知って愕然とし、

学校に行って対応を求めました。

いじめっ子たちは教頭(校長だったかな?)先生に

個別に呼ばれて注意を受け、いじめは減ったようです。

その後どうなったかは気になるところですが……。

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